(事例1)圃場、アルミニウム・カドミニウム等障害改善
1.目的
山形県の小国町の農家から、米の収量が年々減少し、平成14年度の収量が10a当り3俵まで翌ソ込んでしまい困っているとの相談を受けた。土壌分析から減収の原因を考慮した後、カッセー農法で実際のほ場において稲作栽培を行い有効性の確認を行う。
2.条件
1)試験場所 山形県西置賜郡小国町
2)試験年度 平成17年
2)分析内容
・土壌簡易pH測定
・含有量試験(乾燥ベース)
・土壌含有量分析 @アルミニウム ApH(H2O2) BpH(H2O) CpH(KCl)
参考)pH(H2O2) 過酸化水素によるpH測定。正常値:5.0 硫黄の含有量が多いとpHが下がる。
pH(H2O) 蒸留水によるpH測定。正常値:6.0
pH(KCl) 塩化カリウムによるpH測定。正常値:6.4 含有腐熟有機物が少ない場合はpH値が下がる。
・三相分布測定 ほ場の「表層〜5cm」「5cm〜10cm」の2箇所について下記の分析を行い、平均値を算出した。
液相率(%):生土(g)−乾燥土(g)÷容積(100ml)×100
固相率(%):(液相率)÷2.65(係数)
気相率(%):100−(液相率(%)+固相率(%))
仮比重:土壌乾物重量(g)÷土壌乾物容量(ml)
※ 土壌乾物重量測定は、土壌現物を100℃,6時間加熱後に重量を測定。
含有有機質測定:土壌乾物重量(g)−600℃強加熱後重量(g)
・試験生育した玄米の含有量分析 @植物毒素アルミニウム Aカドミウム
3.結果および考察
【土壌簡易pH】5.9
石灰等アルカリ性の物質は多く確認できるが、簡易pHの数値は5.9と酸性を示すものである。
【含有量試験】
分析結果はこちら
アルミニウム:1500mg/kg、過酸化水素(H2O2)pH:2.6(at22℃)、活酸性(H2O)pH:6.2(at22℃)
置換酸性(KCl)pH:4.9
【三相分布及び仮比重】
〔No.1〕表層0〜5cm
仮比重 99(g)/100ml=0.99
三相分布計算 液相:(160-99)/100×100=61.00%
固相:99/2.65=37.36%
気相:100-(61.00+37.36)=1.64%
含有有機質(率)19g (19/99×100=19%)
〔No.2〕表層5〜10cm
仮比重 110(g)/100ml=1.1
三相分布計算 液相:(168.5-110)/100×100=58.50%
固相:110/2.65=41.50%
気相:100-(58.50+41.50)=0.00%
含有有機質(率)0.01未満 (0/110×100=0.00%)
〔平均値〕No.1+No.2
仮比重 1.045 得に問題無い
液相 (61+58.5)/2=59.75% 単粒率過剰
固相 37.36+41.50/2=39.43 粘ソ土不足
気相 100-(59.75+39.43)=0.82% 微生物と高分子による団粒化を要する。
含有有機質 19+0/2=9.5% 有機質は未熟の為表層に集積
【考察】
大気汚染物質である、窒素酸化物(NOx)の地上への沈着や化成窒素肥料過状施肥、及び不適切処理堆肥化物の施肥により、農耕地土壌は硝酸性窒素還元菌(ニトロソモナス・ニトロソバクター)に占有される状況下にあり、この還元菌が空中を浮遊し地上から大量に舞い上がるアンモニアガス(NH3)を、硝酸還元菌が硝酸イオン(NO3−)にすることにより降雨等が汚染され希薄硝酸水溶液(HNO3)化し、地上に降り注ぎ土壌中の鉄(Fe)・クロム(Cr)・アルミニウム(Al)を溶出している。
この可溶性アルミニウム(Al)は、0.01mg/100gでアジサイの花青変、今回の分析値で1500mg/kgという値は、kgを100gに置換えれば150mg/100gとなり感受性植物有害とされる数値の15000倍に当り、このAlは植物根の表面に張付き養分の吸収を妨げ問題である。
(参考) 土壌液中可溶性Alが0.7mg/?でオオムギ67%減収(文献)
次に、土壌三相分布の気相値が目標30%に対し平均で0.82%と殆どない状態であり、この原因は希薄硝酸水溶液で溶出した鉄やアルミニウムが、酸化し二価鉄(Fe2O3)又は二価アルミニウム(Al203)化され、双方の物質が膨潤泥土化作用を起し土壌の団粒が泥土化し気相を失ったものと推測する。
【処置検討】
土壌改良を行うため、以下の手段が有効であり今回の試験で実行した。
@ 土壌改良資材「北日本ユーキVcS」(以下「バークたい肥」と後述する)を投入し、遊離の可溶性アルミニウムを水素酸(OH)など不飽和脂肪酸(アクリル酸等々)にキレート結合(Al(OH)4)させる。
A さらに可溶性アルミニウムが可溶性リン酸を多く取り込むという性質があることから、水溶性リン酸(WP)・可溶性リン酸(SP)・有機態リン酸(TP)を多く含む「カッセーケイフン」をせひすることで、有効リン酸でリン酸アルミニウム結合(Al(OH)2H2PO4)させ無害化処理する。
5.生育試験結果
【対象面積】 2.5ha
【収穫量】 平均7.5俵/10a
3俵/10aまで落ち込んでいた収量を倍以上改善することができた。
【米分析評価値】
分析結果はこちら
アミロース:19.8%、蛋白質:7.2%、水分:15.6%、脂肪酸度:20、スコア:81A
総合評価として最高ランクであった。
【玄米有害金属含有量】
分析結果はこちら
玄米の含有量が基準値を下回っていることから、土壌中のアルミニウム、カドミウムがカッセー農法によって固定化され、根が吸収できない安全な状態になったと判断される。
【生育試験状況】
6.結論
カッセー農法は、生育障害の原因となっているアルミニウム、カドミニウムを植物が吸収できない形に固定無害化することで土壌改善を行い、落ち込んだ収量を改善させることに有効である。
食料危機
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